可愛らしいファンシーな部屋。
栗毛に少し癖毛のミディアムボブ、陽だまりのようなふわふわとした雰囲気の少女が、のんびりとした声音で問い掛ける。
「ねぇねぇスミちゃん」
「ん?どうしたの、ノノ?」
“スミ”と呼ばれたのは、濡れ羽のような美しい黒髪を後ろに無造作に縛った凛とした佇まいの少女。
手に持っていた本から目を離し、栗毛の少女を つぃ と見やる。
口調こそのんびりとしたものだったが、タレ目がちな目には真剣な色が見える。
真剣さを感じ取ったのか、スミは読んでいた本を閉じ、姿勢を正し向き直った。
「私ね、部活を作ろうと思うの。スミちゃん、応援してくれる…?」
徐々に自信がなくなってきたのか、声は段々と小さくなり、最後には上目遣いで懇願するようになってしまった。
その様子に、スミは軽く苦笑し、諭すように優しく言葉を掛ける。
「ノノ、私はいつだってあなたの味方。もちろん応援するし、手伝うよ。」
ノノの顔が太陽を受けた向日葵のように明るくなる。
満面の笑顔でスミを抱きしめた。
「スミちゃん!ありがとー!!」
ノノは抱きしめたスミにこれでもかと頬擦りをする。
「もう、くすぐったいよ。ノノ…」
満更でもない笑顔。
スミにとって一番大切な友人が、自分を頼ってくれ、さらに自分が手を貸すことにこんなにも喜んでくれたことが、たまらなく嬉しかった。
「ねぇ、ノノ。それでノノはどんな部活を作りたいの?」
ノノは満面の笑顔でこう答えた。
「【人には言えないアブノーマルな性癖を叶えてあげる部】!!」
………
……
…
「………はぁ!?!?」
「はっ!?えっ!?あ、アブ…?アブノーマル…な?せい、へき…?」
ノノの向日葵のような笑顔とは対照的に、スミの笑顔がピキリと凍り付く。
「そうなの!だって、男の子ってエッチじゃん!それなのに、普通じゃないエッチなことって女の子が引いちゃうから絶対隠してると思うの!自分を素直に出せないって可哀想だよ!」
両腕で拳を握って、可愛らしくブンブン振って熱弁するノノ。
「ダメに決まってるでしょ!そんな変態たちの相手をして、ノノが危ない目にあったらどうするの!」
ガーンと思いっきりショックを受けた顔をするノノ。
目に涙を溜め、嗚咽を漏らす。
「うっ…ひっく…。だ、だって…可哀想だったんだもん…」
ノノの涙に一瞬怯むが、ここで負けるわけにはいかない!
変態からノノを守るんだ!
「だからって、女の子がそんな簡単に身体を…」
「うぅぅ……」
「くぅっ!!あぁぁぁ、もう!分かった!分かったわよ!私も一緒にやる!ノノ一人では活動しないこと!!」
私は折れた。折れてしまった…。
なんでこんなにノノに弱いんだ、私は…。
私の言葉を聞いた瞬間、ノノは朝露を弾いて咲く花のような笑顔で喜んでくれた。
「ありがとう!スミちゃん!!」
「じゃあ、さっそく依頼箱作ろ!」
ウキウキでお菓子の空箱を使った手作り感満点の依頼箱を作り出すノノ。
「生徒会室前の目安箱の隣に置いておいたら、誰か入れてくれるかなぁ?」
可愛らしいラメやシールをペタペタ貼って皮算用をするノノ。
「いや、生徒会室の目安箱の隣にこんな邪悪なの置いとくなんて、ケンカ売りすぎだろ…」